正しい手順と注意点を徹底解説
製造現場で突然シーケンサのバッテリーエラーが表示され、驚くような経験はありませんか?
この記事では、製造現場で15年以上シーケンサのメンテナンスに携わってきた経験をもとに、シーケンサバッテリー交換の正しい手順、交換時期の判断方法、そしてトラブル回避のポイントまで、実践的な知識をわかりやすく解説します。
この記事を読むにあたって、以下のようなことが起こります:
- シーケンサバッテリーの役割と交換が必要な理由
- 正しい交換タイミングの判断基準
- 安全で確実な交換手順(三菱電機MELSEC、富士電機MICREXシリーズ対応)
- よくある失敗事例とその対策
- バッテリーの種類と選び方
最初のバッテリー交換を行う方でも、この記事を読んで自信を持って作業に臨めるようになります。

1. シーケンサバッテリーとは?その役割と重要性
シーケンサバッテリーが果たす3つの重要な役割
シーケンサ(PLC:Programmable Logic Controller)に搭載されているバッテリーには、一般的にリチウム二次電池が使用されており、主に次の3つの重要な役割を担っています。
1-1. プログラムとデータのバックアップ保持
シーケンサの電源がオフになっている間も、CPU に置かれた制御プログラムやラッチデバイス(保持リレー)のデータを保持します。 バッテリーが切れると、これらの重要な情報が消えてしまう可能性があります。
1-2. 時計機能(RTC)の維持
多くのシーケンサには内蔵時計(瞬間クロック)が搭載されており、バッテリーがこの時計機能を維持しています。生産管理や品質に関して、正確な時刻情報は必須ではありません。
1-3. パラメータ設定の保存
デバイスメモリの設定値やシステムパラメータなど、シーケンサの動作に必要な各種設定情報を保持します。

いつかリチウム一次電池が使えるか
シーケンサバッテリーには、主にリチウム一次電池(使い捨てタイプ)が採用されています。その理由は以下の通りです。
- 自己放電が限りなく少ない:年間約1%程度の放電自己率で、瞬間安定して電力を供給できる
- 高電圧:3.0V~3.6Vの高電圧を1本で供給でき、省スペース化が可能
- 何も動作温度範囲:工場内の高温・低温環境でも安定動作
- 長寿命:一般的に3~5年の寿命があり、メンテナンス頻度を低減できる
2. バッテリー交換が必要なタイミングの見極め方
2-1. バッテリーアラーム(BAT LED点灯)の確認
最も使いやすい交換サインは、シーケンサCPUユニット上部の「BAT」LEDの点灯か不明です。このランプが点灯した場合、バッテリー電圧が低下しているため、とりあえずな交換が必要です。
重要: BATランプが点灯しても、通常1~2週間程度はデータ保持が可能ですが、できるだけ早く交換することを推奨します。
2-2. 使用期間による判断
一般的なシーケンサバッテリーの寿命と推奨交換サイクルの目安は次の通りです。
| バッテリータイプ | 標準寿命 | 推奨交換サイクル |
|---|---|---|
| 二酸化マンガンリチウム(3.0V) | 約5年 | 3~5年 |
| 塩化チオニルリチウム(3.6V) | 約5~10年 | 約5年 |
私が以前担当した工場では、バッテリーアラームが出る前に「3年サイクルでの予防交換」を実施していました。これにより、突然のプログラム消失トラブルを完全に防ぐことができました。
2-3. 環境条件による寿命の変化
バッテリーの寿命は、設置環境の温度によって大きく変化します。
- 高温環境(40℃以上):寿命が50~70%程度に短縮される可能性あり
- 低温環境(0℃以下):電圧降下が早まることがある
- 温度変化が激しい環境:劣化が早まる傾向がある
実際に、私が担当した高温環境の鋳造工場では、通常5年の寿命のバッテリーが3年程度で交換が必要になったケースが計画されました。

3. シーケンサバッテリー交換の正しい手順
ここでは、最も普及している三菱電機MELSECシリーズの例に、安全で確実なバッテリー交換手順を解説します。
3-1. 事前準備
必要な工具と材料
- 新しい交換用バッテリー(型式確認必須)
- プラスドライバー(必要に応じて)
- 静電気防止手袋
- プログラムのバックアップデータ
- 作業記録用のチェックシート
安全確認事項
交換作業の前に、必ず以下を確認してください。
- プログラムのバックアップ取得:万が一に備え、最新のプログラムをパソコンに保存する
- 作業許可の取得:生産ラインの停止許可を確認する
- 静電気対策:静電気防止手袋の着用、または金属部分に触れて身体の静電気を除去する
3-2. 交換手順(電源ON状態での交換方法)
重要ポイント:多くのシーケンサでは、電源ONの状態でバッテリー交換が可能です。ただし、交換作業は1分以内に完了させる必要があります。
-
ステップ1: バッテリーの位置確認
CPUユニットの前面カバーが開いて、バッテリーの位置を確認します。多くの場合、CPUユニット内部の上部または側面にコネクタで接続されています。 -
ステップ2:古いバッテリーの取り外しバッテリー
コネクタを慎重に引き抜きます(無理な力を加えないこと)。バッテリーホルダーからバッテリーを取り外します。ここ
から
1分以内に新しいバッテリーを取り付ける必要があります。 -
ステップ3:新しいバッテリーの取り付け
新しいバッテリーをホルダーに正しい向きでセットします。コネクタをしっかりと差し込みます
(「カチッ」という進むまで)。
バッテリーが確実に固定されていることを確認します。 -
ステップ4:動作確認
上部カバーを閉じます。BAT
ランプが消灯していることを確認します。
シーケンサが正常に動作していること、プログラムやデータが保持されていることを確認します。
3-3. 電源OFF状態での交換方法(推奨方法)
より安全に作業を行いたい場合は、以下の手順を推奨します。
- プログラムのバックアップを取得する
- シーケンサの電源をOFFにする(生産ラインの停止確認必須)
- 30秒程度待機してから作業を開始する
- バッテリーを交換する(時間制限なし)
- 電源をONにする
- プログラムとデータの確認(必要に応じてバックアップから復元)
私が新人だった頃、電源ON状態での交換中に作業に手間取り、2分以上経過してしまった事がありました。 幸いデータは保持されていましたが、今後は生産ラインが停止できるタイミングを待って、電源OFF状態での交換を基本としています。
3-4. 交換後の記録管理
バッテリー交換後は、必ず以下の情報を記録しましょう。
- 交換日時
- 交換したバッテリーの型式
- 交換前のバッテリー使用期間
- 交換作業者名
- 次回交換予定日
この記録が、計画的なメンテナンスの基礎となります。

4. バッテリー交換時によくあるトラブルと対策
4-1. プログラムやデータの消失
原因
- バッテリー交換に時間がかかりすぎた(1分以上)
- バッテリー電圧がもう限界まで低下していた
- 静電気によるメモリ破損
対策
- 必ず事前にバックアップを取得する(最重要)
- 交換作業は1分以内に完了させます
- BATランプ点灯後は先に交換する
- 静電気対策を徹底する
実際に私が経験したケースでは、「BATランプが点灯してから3ヶ月放置されていた」シーケンサのバッテリー交換時に、プログラムが完全に消えてしまった事があります。 幸い1週間前のバックアップがあったため、大きな問題にはなりませんでしたが、この経験から「バックアップの重要性」を感じました。
4-2. バッテリーの型式間違い
原因
- 類似の型式のバッテリーを誤って購入・使用した
- 機種変更時に古い型式のバッテリーを発注してしまった
対策
- 必ずCPUユニットの型式を確認してから発注する
- メーカーの推奨バッテリー型式を確認する
- 在庫管理時点を信頼する
4-3. コネクタの接触不良
原因
- コネクタが完全に差し込まれていない
- コネクタ部分の汚れや酸化
- コネクタの破損
対策
- 「カチッ」というこれからするまでしっかり差し込む
- コネクタ部分を清掃してからメンテナンス
- 無理な力を加えない(破損の原因となる)
4-4. 時計(RTC)のズレ
原因
- バッテリー交換時に時計機能がリセットされた
- 長時間のバッテリー取り外し
対策
- 交換後、必ず時刻設定を確認・再設定する
- タイムスタンプを利用している場合は特に注意する

5. バッテリーの種類と選び方
5-1. 主なバッテリータイプ
シーケンサに使用されるバッテリーは、主に以下の3種類です。
二酸化マンガンリチウム電池
- 公称電圧:3.0V
- 特徴:高容量で大電力供給が可能
- 用途:一般的なシーケンサに広く使われています。
- 寿命:約5年
- 例:三菱電機のQ、FXシリーズなど
塩化チオニルリチウム電池
- 公称電圧:3.6V(最も高電圧)
- 特徴:自己放電が早い、低温環境に強い
- 用途:精密制御が必要な機器、限界な環境
- 寿命:5~10年
- 凍結点:-114.5℃
ヨウ素リチウム電池
- 特徴:長期信頼性が最大の特徴
- 用途:高信頼性が求められる特殊用途
- 一般的なシーケンサでの使用:限定的
5-2. 正しいバッテリーの選択
バッテリー選定時は、以下のポイントをご確認ください。
| 確認項目 | 詳細 |
|---|---|
| CPUユニットの構造 | 取扱説明書で推奨バッテリー型式を確認する |
| 電圧 | 3.0Vまたは3.6V(機種により異なります) |
| コネクタ形状 | 機種専用のコネクタ付きバッテリーを選択する |
| メーカー純正品の使用 | 互換品は推奨されない場合が多い |
| 使用環境 | 高温・低温環境では寿命が変化するため、余裕を持った交換サイクルを設定 |
5-3. バッテリーの保管方法
予備バッテリーは、以下の条件で保管してください。
- 温度:5℃~25℃の涼しい場所
- :低湿湿環境
- インタビュー日光を注目
- 有効期限の管理:製造後3~5年が目安
重要:リチウム一次電池は充電できません。充電を試みると破損・液漏れの危険があります。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. シーケンサのバッテリーは電源ONのまま交換できますか?
A:はい、多くのシーケンサでは電源ONの状態でバッテリー交換が可能です。 なお、交換作業は1分以内に完了させる必要があります。1分を超えるとプログラムやデータが消える可能性があるため、事前にバックアップを取得し、手順を確認してから作業を行ってください。
Q2. BATランプが点灯したらすぐに交換しなければいけませんか?
A:BATランプ点灯後も、通常1~2週間程度はデータ保持が可能です。 ただし、この期間は環境条件やバッテリーの状態によって変化するため、とにかく早く交換することを強く推奨します。 特に生産ラインを停止できないタイミングでプログラムが消えると、重大なトラブルに繋がります。 BATランプ点灯を確認したら、とりあえず交換計画を立てましょう。
Q3. バッテリー交換時にプログラムが消えてしまいました。どうすればいいですか?
A: まずは、事前に取得したバックアップデータからプログラムをもう一度つけてください。
Q4. 純正品以外の互換バッテリーを使っても問題ありませんか?
A:メーカーは純正品の使用を推奨しています。 互換品を使用した場合、電圧特性やコネクタ形状の違いにより、正常に動作せず、寿命が短く、最悪の場合は機器を破損させる可能性があります。 また、互換品使用によるトラブルはメーカー保証の対象外となる場合があります。 安全性と信頼性を重視し、純正品の使用を強く推奨します。
Q5. バッテリー交換の適切な頻度はどれくらいですか?
A:標準的な使用環境では、3~5年サイクルでの交換を推奨します。 なお、以下の条件に応じて交換頻度を調整してください。 ①高温環境(40℃以上)や温度変化が激しい環境では2~3年サイクル、②重要性の高い設備では予防保全として3年サイクル、③使用頻度が低い設備でも5年を超える場合は交換を検討してください。
7. まとめ
シーケンサバッテリーは、制御プログラムやデータを維持する重要な役割を担っており、適切なメンテナンスが生産ラインの安定稼働に真っすぐに対応します。
この記事の重要ポイント:
- バッテリーの標準寿命は3~5年ですが、環境条件により変化します
- BATランプ点灯を確認したら次に交換する
- 交換前には必ずプログラムのバックアップを取得する
- 電源ON状態での交換は1分以内に完了させます
- 純正バッテリーの使用を推奨する
- 交換履歴を記録し、計画的なメンテナンスを実施する
私が15年以上の現場経験で学んだのが最も重要なことは、「予防保全の徹底」です。BATランプが点灯してから慎重に計画する必要はなく、定期的な点検と交換のため、トラブルを防ぐことができます。
特に、24時間稼働の生産ラインや停止が困難な設備では、予防的なバッテリー交換は不可能です。 年次点検のタイミングを活用するなど、計画的にメンテナンスを実施することをお勧めします。
8. お問い合わせ
森松産業株式会社では、リチウム一次電池の専門知識でお客様の設備に
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監修者プロフィール

リチウム電池.COMを運営する森松産業株式会社では、
長年にわたりリチウム一次電池の専門会社として、国内の高品質な製品を目指してまいりました。お客様から最も多くの方にご質問が「この電池は充電できますか?」というものです。
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